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STAFF BLOG

今も未来も快適に

2021-07-12
こんにちは、ニシムラです。
ここ数日一気に暑くなり、ちょっと外に出ただけで汗だくになりますね。
体調を崩しやすい時期でもありますので、水分と栄養補給はしっかりしていきましょう。
 
 
さて、今回は家族とバリアフリーに関する話です。
考えているようで、考えていなかったこと。その立場になってようやく身に染みて理解することってありますよね。
実は父が骨折して入院中なのですが、大事な用があり病院から許可を得て外出することに。
足の手術をしたばかりでまだ歩けず、車椅子で連れて行くことになりました。
車椅子の方を街で見かけることはあっても、身内や友人に車椅子の人がいないので、車椅子でどこかに出掛けるというのは今までありませんでした。
 
今回初めて車椅子を押して街へと出たのですが…、やはり当事者になってようやく身に染みることが多くありました。
まずスーパーに立ち寄った際は、身障者用の駐車スペースが非常に有り難かったです。折り畳み式の車椅子を広げて、座席から乗り移して…などしているとスペースを使いますし、これが入口から遠かったら移動も大変だったと思います。
当たり前ですが、やはり利用すべき人が利用できる環境を作っていかなければならないですね。
用を済ませ、食事をしてから病院に戻ろうとした際は、どこなら車椅子で入店できるか?と考えました。ファミレスなどは車椅子対応の席があったりしますが、本人はラーメンを食べたいと言うんです(笑)
テーブル席ならば椅子を退かして車椅子で入るのですが、近くのラーメン屋を思い浮かべると店内はみんなボックスソファ……。カウンター席は通常の高さなら良いですが、ハイカウンターだと高すぎる。もちろんボックスソファと椅子を両方設けている店舗もありますが、記憶の中では大体ボックスソファ…。
意外に入れるお店って少ないのでは…?と思い、何店舗か電話で聞いてみました。
まず入店できるか、席は車いすで問題なく座れるか。
すると返答は二種類でした。
「入店はできます。席は…多分大丈夫だと思うんですけど…」
「はい、大丈夫ですよ。席も問題ありませんので、ぜひお越しください」
もちろん後者のお店に行きました。
事前に電話したおかげでスムーズに案内してもらえました。
ほとんどがボックス席でしたが、一部椅子があり、そこに案内してもらえました。
予約をしたわけではなかったのですが、電話を受けた後におそらくその席を空けておいてくれたのでしょう。店員さんの気遣いは有難かったです。
ですが、入口は自動ドアでないので開けるのが大変かもしれないと電話の際に言われました。確かに重めのガラス戸だったので、介助者がいないと入店できなかったなと思いました。
 
今回初めて車いすを押して外を出歩いてみて、今まで気づいていなかったことを多く感じました。この仕事をしているので、スロープの勾配や段差の高さには注意を払っていましたが、実際に自分で体感しないと分からないことも多いですね。
 
病気は勿論ですが、怪我で足の自由を失うというのはどんな年齢でもあり得ることです。多くの人が生活しやすい環境を作るには、まず自分ができることをしなければならないと強く感じました。
住宅において言うと、将来車いすになっても大丈夫なようにしたいというご希望はよく聞きます。現在車いすの家族がいるなら、しっかり車いす対応にしますが、将来もし…という話だとどうでしょうか。
実際車いすで生活ができるようにするとなると、廊下の幅を広くしたりとスペースの確保で全体の面積も大きくなりますし、部屋間のアクセスを考えると間取りの組み方も自由にはいきません。費用も増えるので、なかなかそこまでは…となるのが現状です。
ですが、「いつか」の車いすに対応にするために、例えばオープンすぎる間取りにしたり、広い廊下にお金をおかけたりというのは、やはり私も少し違うと思っています。
 
これから子育てをする世代であれば、まず20年間生活をしやすい環境を作りたい。
そして家族の生活スタイルが変わった時に、可変できる家であるべきだと考えています。
例えば、寝室から水回りのアクセス、今はプライバシーもあるし壁がいいけど、将来介護が必要になった時はここの壁をなくせば、すぐアクセスできるし介護もしやすい。だからここは筋交いがなくてもよい間仕切り壁にする…と、構造を組む際に計画しておけば、「いつか」が来た時に、リフォームで対応ができる。
実は今月着工した物件も、将来的にトイレの向きと入口が変えられるように、構造を組みました。それを踏まえて構造計算をして、許容応力度計算で耐震等級3を取っています。
今も未来も、家族が快適に住める…そんな家づくりをするために、私ももっと配慮して設計していこうと強く思った一日でした。